ADHD(注意欠陥・多動性障害)はAttention Deficit Hyperactivity Disorderの略で、不注意(集中力がない)、多動性(じっとしていられない)、衝動性(考えずに行動してしまう)の3つの症状がみられる発達障害です。

これらの特性は日常の問題行動やトラブルの要因となってしまうことが多々あります。
その度に親のしつけが悪い、愛情不足と指摘されて悩んだことのある人も多くいるでしょう。
しかし、ADHDになる原因として、愛情不足や育て方は直接の原因ではないと考えられています。

今も原因ははっきりとしていませんが、ADHDは先天的な脳の機能障害であるとされています。
この脳の機能障害には、遺伝的な要因が関連するという研究結果もあるため、遺伝による影響は全くないと言い切ることはできません。

今の段階で親からの遺伝が原因となってADHDが発言する可能性は確立によって表すことはできませんが、否定しきることもできないのです。
また、ADHDに関する研究で、家族性についてのものがあります。

家族性とは、ADHDの人がいる家系の場合、ない家系に比べて発症しやすい傾向にあるということです。
ただ、これも現段階では、まだはっきりと確率が示されているわけではありません。

家族間では遺伝による体質、生育環境が似ていることがADHDに作用する原因であると考えられますが、ADHDは体質や環境要因が相互に、かつ複雑に影響するものです。
ここからもわかるように、親がADHDであるからといって、子どもに必ずADHDが遺伝するということはありません。

ADHDの原因とは

ADHDが発症するはっきりとした原因は未だわかっていませんが、「脳障害の説」と「環境要因の説」があり、これらが研究されている最中です。
記念の研究では、行動等をコントロールしている神経系に原因のある脳の機能障害であり、特に前頭葉の働きが弱いことが関係していると考えられています。

前頭葉とは脳の前部分にあるもので、物事を整理整頓して論理的な考えをする時に働く部位です。
注意を持続させたり行動のコントロールを司る部分で、ADHDの人が注意集中や行動制御を苦手に感じるのは、この部分の機能に何らかの異常があって、前頭葉がうまく働いていないことが原因だと考えられています。

前頭葉がうまく作用するには、ニューロンによって神経伝達物質であるドーパミンが運ばれることが必須です。
しかし、ADHDの人の場合はニューロンによってうまくドーパミンを運ぶことができず前頭葉の働きが弱くなってしまうと考えられています。
これによって、ADHDの特徴である「多動」「衝動」「不注意」の3つの特徴が引き起こされます。

また、ADHDの人は五感からの刺激を敏感に感じ取る傾向があります。
これも前頭葉の働きが弱いことに起因すると言われています。

思考より五感からの刺激を敏感に感じてしまうので、論理的に考えたり集中することが困難に感じられるのです。
ADHDの原因として現在最も有力なのは、脳機能の障害の素因が先天的にあり、それが出生後の脳機能の発達や環境的な要因と相互に影響し発症するというものです。