大人のPTSD(心的外傷後ストレス障害)の治療方法

大人のPTSDの治療では、本人のペースに合わせて治療をすることが最優先です。
周囲が無理に治そうとするのではなく、本人が安心できるような環境づくりを整えることが改善への近道です。

同じPTSDでも、大人の方が子どもよりも精神的に発達していることもあり、きっかけとなる出来事も異なるため適切な治療方法にも違いが見られます。

PTSDになる人の多くはPTSDに関する知識が不足しているため、症状を発症してしまったことに対する罪悪感に駆られることがあります。

まずは罪悪感を軽くするために、PTSDについて正しく理解すること、自分の感情をコントロールする術を身につけることが重要であると言えるでしょう。

薬物療法

PTSDの治療には、薬物療法が役立てられることもあります。
この薬物療法は対症療法的に使われるもので、例えば不眠などの症状が見られる時にはそれを改善する薬が、抑うつ状態の際はまた別の薬が用いられます。

また、PTSDは他の精神疾患と併発することがあるため、その疾患の治療も踏まえて薬物療法を用いることになります。

精神疾患の薬は誤用によって深刻な副作用を引き起こす場合もあるため、医師の指示をよく守った上で正しく服用することが重要です。

集団療法

PTSDの主な治療法には、集団療法というものもあります。
集団療法によってPTSD患者の抱える孤独感を軽減したり、他人を信頼できるようになるといった効果が認められます。

ただ、集団療法と一言で言っても、いろいろな種類があります。

一人一人がトラウマに向き合う必要のあるものからトラウマに触れないようにするものまで様々です。
専門家と相談した上で自分に合うものを選ぶ必要があるでしょう。

子どものPTSDの治療

PTSDの治療において、子どもと大人で大きく違いがあるというわけではありません。
ただ、子どもは大人に比べて自分の言葉で状況を説明することが難しいものです。
そこで、トラウマや子どもの置かれている状況を正しく把握するためには工夫が必要となります。

子どものPTSDの治療では、直接的に話を聞くというだけではなく、子どもが遊んでいる様子や描いた絵などから判断するといった方法で、間接的に心情を探るアプローチをすることになります。

まず治療を開始する際には、大人のPTSDの治療と同じくPTSDとはどんな病気なのかを理解できるようにします。
その後、薬物治療や認知行動療法などを用いて治療に入ります。

トラウマフォーカスト認知行動療法という治療法は特に、PTSDの治療に有効性が確認されています。

これは週に1回、60~90分、8~16週かけて行うもので、トラウマに向き合う準備をする、トラウマ記憶に向き合う、定着と統合の3つの段階で、親子の絆を深めながら治療します。

ただ、治療をしているからといって、日常的にパニックに陥らなくなるわけではありません。
もし子どもが取り乱すような時は、適切な声がけをすることによって、安心感を持たせてあげるようにしましょう。