「もしかして私って、発達障害…?!」そう思って受診した結果、発達障害と診断された方、これから受診する方、たくさんいらっしゃると思います。

「自覚はあったが、やっぱり発達障害があったのか」「自分の子どもが発達障害でショックを受けている」…など、様々な思いがあると思います。

発達障害と診断されたら、まずは発達障害の種類や特徴など今一度知ることが大事です。

また、診断後に受けることができる社会的支援などをまとめましたので、そちらもぜひ参考にしてみてください。知らないと損をする制度もあります。

それでは、そもそも発達障害とは何なのか。自分の状態や特徴を知ることから始めてみましょう。

発達障害を知ろう

発達障害は病気なの?

これまで発達障害は原因がよくわからなかったために、何らかの病気だと思われていたり、本人の性格、生活環境、親の育て方が原因とされていました。

発達障害は病気ではなく、生まれつきの障害=特性です。

言葉、コミュニケーション、社会性などの発達に偏り・歪みなどの何らかの特性によって不適応の状態が起こることや、親の育て方や本人の性格は無関係であることが最近の研究で分かってきました。

発達障害の種類

発達障害には大きく分けて3つのタイプに分けることができます。

「ASD(自閉症スペクトラム障害)」「ADHD(注意欠如、多動性障害)、「LD(学習障害)」の3つです。

様々な診断基準や指標を使ってどのタイプの発達障害なのか診断されます。

ASD(自閉症スペクトラム障害)

ASDについて、かつては「自閉症」、「広汎性発達障害」、「アスペルガー症候群」など様々な名称が用いられてきました。ASDの典型的な特性として「コミュニケーションの障害」、「社会的なやりとりの障害、」「こだわり」などがあげられます。これらの度合いは人によって異なるため、連続体(スペクトラム)ととらえるようになり、現在はASDと呼ばれています。

ADHD(注意欠如/多動性障害)

「不注意」「衝動性」「多動性」などの特性があり、集中力がない、落ち着きがない、ものをなくす、時間が守れないなど主に行動面に特徴があります。

LD(学習障害)

「読む、」「聞く」「話す」「書く」「計算する」などのうちから1つ以上に遅れや困難が認められます。知的能力が“部分的”に遅滞している状態なので、知的障害とは異なります。

社会生活で問題になるかどうかが重要

誰でもADHDやASDに近い傾向はあります。しかし、生活に支障が出なければ受診することもありません。

生活になんらかの支障があり、受診し、基準に該当した人が「障害」と診断されます。実際には15人にひとりの割合で発達障害がみられます。

診断される基準として、社会生活を送るうえで支障が出ているかどうかは重要なポイントになります。

発達障害の診断をされたら?

 診断を受けるメリット

診断を受けることで得られるメリットの一つに、周りからの理解を得やすいこと、そして診断に沿った支援や治療が受けやすいことがあげられます。また、自分の感じている生きづらさに対して診断名で説明がつくようになることもあるかもしれません。

長年自分のせいにしていた生きづらさが、実は障害の特性であったと理解できたとき、自分を責めてしまうことをやめることができるなど、診断名が出ることによって前向きになれる人もいます。

発達障害支援センターや福祉制度を利用する

発達障害という診断を受けたけれども、どこに相談すればよいかわからない場合は、地域の発達障害者支援センターに連絡をしましょう。

2016年に改正された「発達障害者支援法」によって教育現場における個人支援体制の整備や上記のような発達障害支援センターの増設など様々な支援が強化されるようになりました。

そのほかにも保健所や保健センター、各学校の総合相談センターなどでも相談に乗ってもらえる場合があります。

障害者手帳を取得することができる

発達障害と診断された人は、障害者手帳を取得することができるようになります。

障害者手帳には、1)身体障害者手帳 2)療育手帳 3)精神障害者保健福祉手帳の三種類があり、発達障害がある方は2)療育手帳(知的障害がある場合)、3)精神障害者保健福祉手帳の取得が可能です。

この障害者手帳を取得すると、各種支援が受けられるようになります。

たとえば、公共料金の割引や、福祉手当の支給などがあります。

申請は、主治医に必要事項を記入してもらい、自治体に書類を提出します。

障害者手帳を取得することや、福祉サービスを受けることに抵抗がある人も少なくありません。

ですが、一人や家族の支援だけではどうにもならないときは公共や専門家のサポートを受けることも重要です。

 

さまざまな就労支援機構を利用しよう

 

発達障害と診断されたが、どのように就労すればよいかわからない…。

そんな場合には、若年コミュニケーション能力要支援者就職プログラムなど、ハローワークが主体となっている就職支援があります。

発達障害がある人に対して、個別支援や専門支援を行ってもらうことができます。

そのほか、職業リハビリステーションなど、作業体験を通じて職業スキルを向上させるプログラムもあります。

発達障害って治るの?

発達障害と診断されたけれど、そもそも発達障害って治療して治るものなのでしょうか。

発達障害は病気ではないので、根本的に「治す」ことはできません。

しかし、治療することによって生活上の不適応を解決し、生きづらさの解消へつなげることは可能です。

発達障害の治療法についてみてみましょう。

心理療法(カウンセリング)

発達障害の治療の中にはカウンセリングを行うことも有効です。カウンセリングでは、発達障害そのものの対策を考え、複雑な心理状態をケアする必要があります。

必要な情報やアイディアを提供してくれる人、良く理解してくれるカウンセラーを探すことが重要です。

薬物療法

ADHDの治療薬が成人にも適用されるようになりました。

ただし薬物療法を行うのは症状が強くて社会生活・または家庭生活をおくるのが困難であり、心理療法などで十分な効果が得られない場合です。

不注意、多動性、衝動性を軽減させる薬として、”コンサータ“や”ストラテラ“があります。

これらの薬は、主に脳内物質のドーパミンやノルアドレナリンのバランスを調整します。

しかし、これらの薬物療法は日常生活の不適応に対応するための補助的な役割にすぎません。

環境調整

たとえばADHDの方であれば、その特性から様々なことに気を取られたりしてしまいます。

そのため、目に入りやすい掲示物などを取り除いた作業しやすいスペースを確保する、子どもであれば教室の一番前の席にするなど環境調整を行い対処することもできます。

二次症状の可能性も

発達障害の方はストレスに弱い傾向があります。

また、その特性から努力しているにもかかわらず社会生活で不適応を起こし、自尊心を傷つけられてしまい様々な精神障害が併存症(二次症状)として現れる場合があります。

そのため、不安障害やうつ病、双極性障害など併発する可能性があります。抗うつ薬や気分調整役を服用することによってこれらの二次症状の改善を行います。

 

発達障害との向き合い方

 自分はダメだという思いを捨てる

発達障害と診断されて、社会的な生きづらさを感じることが多くあるかと思います。

しかし、自分はダメな存在だと考える必要はありません。

新しい自己像を作っていくことが大事です。日常生活を見直し、うまくいっていないところをうまくいくように枠組みをつくり、自分をコントロールしやすい環境をつくりましょう。

また、自分でどうにもならない場合は、医療機関や相談機関にかかり、意見を共有しましょう。一人で悩まずに、相談できる相手や期間を探すことが重要です。

 

まとめ

発達障害と診断されたら、まずは自分の状態を知ることが大切です。発達障害の中のどの症状なのか、自分の特徴を知りましょう。

発達障害と診断されることによって、受けることができる社会的な支援があります。

また、行動療法や薬物療法など発達障害の症状を軽減できる方法もあります。

発達障害の診断を後ろ向きにとらえすぎず、新しい自己像を作っていくことが重要です。