ダウン症の子どもの生活上での困難とは

染色体が通常よりも1本多いことで起こるダウン症は、生活上で様々な困難を感じることがあります。
ダウン症の子どもを持つ親が困難を感じることの多い場面を、「乳児期」「幼児期」「児童期以降」にわけて紹介します。

乳児期

障害の有無に関係なく、幼児は免疫がついておらず抵抗力が未発達です。
そのため、病気にかかりやすい時期と言えます。

さらにダウン症の子どもの場合、合併症を持っていることが多いので、より注意が必要です。
ただ、ダウン症の幼児全員の体が弱いというわけでなく、健康体の子どももいます。

ダウン症の子どもが生まれてすぐに生じる困難といえば、授乳です。筋肉量が少ないダウン症の子どもは、母乳やミルクをうまく飲むことができません。
また、筋肉量が少ないことはうまく泣けないという症状にもつながります。
通常、子どもの泣き声は親にとって空腹に気づくサインになるのですが、ダウン症の子どもの場合サインに気づくことが難しくなります。

この時の対処法としては、哺乳瓶を用いるのがおすすめです。
母乳よりも哺乳瓶の方が、授乳時に力を必要としません。

全て哺乳瓶を使った授乳にするか、母乳と混合にすることでうまく飲めるようになるでしょう。
また、哺乳瓶の穴のサイズが大きいものを選ぶのも、良い工夫になります。

ただ、哺乳瓶を使った授乳では、よだれ症を引き起こしてしまうこともあるので、子どもの体調を確認しながら、ゆっくりと母乳を飲ませるのも一つの工夫の方法です。

幼児期

幼児期になり自我が芽生えると、いうことを聞いてくれなくなるという問題に直面します。
これは子どもの意志の強さやこだわりの表れなので、指摘しすぎるのもよくありません。

周りから見ると些細なことに見えるこだわりも、暖かく見守りながら根気強く付き合ってあげましょう。

幼児期には知的発達の遅れが見られ始め、ダウン症の子どもの場合は数ヶ月の遅れが見られます。
障害が軽度の場合は見過ごされがちですが、成長につれ次第に精神発達の遅れは大きくなり、7~8歳程度の知能で停滞してしまうこととなります。

漠然とした話を理解することが難しく、独り言が多く見られます。
短期記憶は苦手ですが、長期記憶が得意で覚えたことに執着するケースもあります。

児童期以降

ダウン症の子どもが小学校に入学すると、授業についていくことが難しくなる場合が多いとされています。
彼らは、耳から理解する能力が弱く、集中して話を聞くことを苦手としています。

集団の中で一斉に指示を受けたことを理解し行動に移すことが難しく、遅れをとり通常のクラスでの授業についていくのが困難になります。

小学校までは、軽度な症状であれば普通学級で学ぶことができる場合もありますが、中学、高校と進学するにつれて、特別支援学級や特別支援学校を選択するケースが増えていきます。

また、生まれた時には特に症状が見られなくても、成長段階において二次障害になる可能性があります。
治療やサポートが行き届かないと、思春期以降にダウン症とは違う症状や状態を引き起こすことがあり、これを一般的に二次障害と言います。

二次障害において注意すべきは、以下のような症状や状態です。

・うつ病
・不安障害
・不登校やひきこもり
・アルコール他依存症 等

これらの症状、状態が見られた場合は、医療機関で適切な処置を学んでください。
二次障害の場合、心的要因が原因になることが大半です。
そのため、普段から子どもにとって適切な環境を整えることで、二次障害にかかる可能性を減らすことができます。
日頃から子どもの気持ちを尊重しつつ接することを意識しましょう。