発達障害の早期療育に用いられるABA療育において消極的罰を用いる場合は、まだ子どもが幼く問題行動が見られるようになって日が浅いうちが好ましいとされます。
ではここで、その具体例を見ていきましょう。

玩具売り場での例

玩具売り場で癇癪を起こす子どもに消極的罰で対処する場合は次のようになります。

消去と強化を組み合わせる

問題行動に対応するためには、問題行動を減らすだけでなく、望ましい行動を増やすことも大切です。
それを実現するには、強化と消去の両方を用いて望ましい行動に導きます。

消去で対応をする

消去とは、子どもが求めるものを与えない、与えられない状況を作り出すことです。
玩具売り場で癇癪を起こす子どもの場合は、おもちゃを買わず駄々をこねられても無視をすることで「癇癪を起こせば欲しいものを買ってもらえる」という強化子を無くします。
問題行動を起こす子どもは「癇癪を起こす」→「欲しいものが手に入る」→「癇癪を起こす」という循環にあるので、これを阻止することが重要です。
消去を用いた対応をする際は、「消去バースト」と呼ばれる一時的な問題行動の悪化が見られることがありますが、これにも反応をせず無視をするといずれは収まります。

どうしても困った場合には周りに迷惑にならないよう、静かな場所に連れ出して癇癪が収まるまで待ちましょう。
これには時間を要する場合もありますが、途中で負けて要求を飲んでしまうと逆効果ですから、強い姿勢で対応しましょう。

例えば、おもちゃ売り場で癇癪を起こす子どもを無視したことで逆上し売り場のものを散乱させるなど、子どもが更なる問題行動に出たとします。
そこで対応が難しくなり要求に対応すると、子どもは今後より注目を集められる行動に出れば要求を飲んでもらえると学習します。
このことが更なる問題行動の悪化につながるのです。

消極的罰を用いることでより困った状況に陥る可能性を考えると、「買い物に連れて行かない」「託児所に預ける」などといった環境調整で対応したほうが無難に問題行動を防げると言えます。

強化で対応する(望ましい行動を増やす)

問題行動を減らすだけでなく望ましい行動ができた場合に褒めたり褒美を与えることで強化を行います。
強化にはいろいろな方法がありますが、その中の一つ「別の適切な行動を強化する」方法を例に挙げます。

「落ち着いて三回買い物ができたら欲しいものを一つ買ってあげる」というルールを作り、子どもと共有しておきます。
よりルールをわかりやすくするため、ノートやメモを使い一回買い物が終わるごとにポイントが貯まる仕組みを作り可視化しましょう。

ポイントがたまって褒美がもらえるこの仕組みを、「トークンシステム」と言います。
シールがたまったら見返りとしてのご褒美(強化子)を用意して、実際にルールを守って買い物ができた場合は言葉にして褒めながらポイントを渡し、一定数に達した時はご褒美を授けます。
子どもの特性や状況は各々違うので細かい対応方法は異なりますが、ABAの手法により原因の特定や好ましい対処行動がより具体的になります。