ABA療育の基本的な考え方

自閉症のある子どもの早期療育にも使われる応用行動分析学(ABA)の基本的な考え方に迫ります。

個と環境へのアプローチ

ABAでは、対象となる個人だけではなく、その周りの環境と及ぼしあう作用が行動や感情を形作っていると考えられています。
このことから、ABAでは個人だけでなく、周囲の環境にもアプローチします。

例えば、感覚過敏の子どもが学習や勉強に集中できないとき、子ども本人の問題を改善しようとするだけでなく、部屋の中の色を統一して目立たなくしたり、音のない環境にしたり、周囲の人にも協力をしてもらうことによって、集中できる環境に整えます。

問題行動を減らすためのステップ

子どもの問題行動を軽減したり無くすためには、次の三つの段階が必要です。

①原因を理解し特定すること
②適切な手法を知ること
③その手法を実施し続けること

それぞれの段階に置いて効果的な手法は異なるので、順を追って見ていきましょう。

問題行動の原因を理解

現在の研究では、子どもの起こす問題行動のうちの大半の原因は次の4つの強化子に分類されると考えられています。
強化子とはすなわち、子どもの望みのことです。具体的にまとめます。
 
1.要求の実現
「物が欲しい」「何かをしたい」など子ども本人の要求が引き金となって問題行動を起こしていることがあります。
例えば、買い物についてきた子どもがお菓子が欲しいと癇癪を起こすことで親に買ってもらうことができた場合、その体験が仇となり今後同じような場面で癇癪などの困った行動が増えることが予想されます。

2.回避と阻止
子どもが自らの行動によって嫌な状況を脱することができた場合、その行為が不適切なものであったとしても嫌なことを回避するのにつながると感じると、その経験が問題行動のきっかけとなります。
例えば、学校に行くのが嫌で仮病を使って休むことができた場合、「嘘をついて嫌なことから逃げ出す」行動によって不快に感じる場面を回避できたことから、今後も似た行動を繰り返すこととなるでしょう。
これは回避を原因とした問題行動です。

3.注目要求の実現
家族や先生、相手など周囲の注目を集めたいという欲求が問題行動のきっかけになることもあります。
例えば、大声を上げることで先生から注目を得ることができた場合、子どもにとって「注目」が問題行動を繰り返すこととなるきっかけにつながります。
他にも、友達に危害を加えることで親や先生からの注目を得られた場合などにも同じことが言えます。

4.自動強化(感覚刺激)
子どもの問題行動を生み出す刺激そのものが快感につながっていることから問題行動の循環のきっかけになることもあります。
例えばぐるぐると体を回転させたり唾を出したり入れたりする、手をしきりに振るなどの行動は、子どもにとって退屈や不安を紛れさせる感覚刺激であり、このことが行動を繰り返す原因となっていると考えられます。