ABA療育は誰のため?

ABAを用いた療育は、自閉症のあるこどもの早期療育のみに使われている訳ではなく、学齢期より大きな子どもにも用いられます。
ここでは、自閉症のある子どもの早期療育のみに限定せず、どんな場合にABA療育が用いられるかをまとめ、結果的に誰にとってどんなメリットがあるのかをまとめます。

子どものため

ABA療育とは、社会生活を過ごす上で課題のある子どもが対象です。
この中には自閉症をはじめとする発達障害のある子どもも含まれます。
しかし、発達障害があるからといって、その子どもの行動の全てが問題となる訳ではありません。

ABA療育をするにあたって、誰にとってどんな問題が起こっているのかを具体的に考える必要があります。
ではどんな問題が解決すべきと捉えられるのか、三つに分けて紹介します。

本人・他者に危害や損害の及ぶ行動

男の子がお母さんや女性に抱きつくという行動を例に考えた時、本人が幼い頃なら問題にはなりませんが、中学生以上になってもその行動が続いていた場合、問題として認識されるようになります。
抱きつく対象が不特定の女性であった場合、相手にとって問題となることはもちろん、本人にも不利益が生まれます。
このような他者や本人に気概や損害を生む行動は問題行動と捉えられます。

他者を巻き込んだ上で周囲の活動を制限する行動

例えば、毎朝散歩をしなくては気が済まない子どもがいたとします。
散歩をすること自体は問題のない行動ですし、その子どもの自由です。
しかし、散歩をしている最中に他人が目に入ると文句を言うことがあったとします。
この場合は、他者を巻き込んだ上でさらに活動を制限していると言うことになるので、問題行動であると捉えられます。

子ども本人の学習や社会活動への参加の妨害となる行動

絵を描くことが好きで没頭してしまうという子どもがいたとしましょう。
そのこと自体は子どもの特性であり、問題にはなりません。
しかし、絵を描くことに集中しすぎて他人の声が聞こえなくなったり、自分が呼ばれているのに反応することができなくなると、本人の学習や社会活動に支障をきたすことになります。
これは本人にとって立派な問題行動と捉えられます。

これらの問題行動を改善、緩和することができれば、子どもの得られる自由度が上がるのはもちろんのこと、周囲を守ることにもつながります。

親のため

ABAへの理解を深めることは、親にとってのメリットにもなります。
ABAを用いた療育では、行動のきっかけに着目します。
その途中で、大人は子どもがなぜ行動を起こすのか理解することができるのです。
行動の原因が分かることは子どもの気持ちを理解することにもつながります。
「なぜこんな行動をとるのか」「どうして話を聞いてくれないのか」と悩んでいた大人も、ABA療法によって行動の原因がわかり、ストレスや悩みが軽減される場合があります。
つまり、ABA療法は子どものためだけでなく親のためにもなるのです。