「応用行動分析学(ABA)」は発達障害のある子どもの療育における考え方の一つです。
行動の前にはそのきっかけが、後には結果があることを踏まえ、行動をする前後に工夫をすることによって社会生活における問題を解決しようとする学問と実践です。
ここでは基本概念と研究結果をまとめます。

応用行動分析学(ABA)とは

応用行動分析学は通称「ABA」(Applied Behavior Analysis)という理論と実践の体系です。
人間の行動を個人と環境の相互利用の枠組みの中で分析することを指します。

応用行動分析学のベースには米国の心理学者スキナー創始した行動分析学という学問があります。
それまで心理学では行動を起こす理由を個人に求めていましたが、行動分析学においては人の行動や心の動きを個人とその周りを取り巻く環境との相互作用によるものであると考えます。

行動分析学とは、人の気持ちや行動の原因となるものを、本人を取り巻く環境との関係性に着目して考えるというものです。
応用行動分析学(ABA)は、行動分析学の研究によって得られた知見を実社会における諸問題の解決に応用することを試みる中で生まれました。

この応用行動分析は、教育、医療、福祉、看護、リハビリテーションなど様々な分野で成果を上げていて、現在も引き続き現場での実践、研究が行われているところです。
発達障害の子どもへの療育にも応用が進み、様々な成果も得られています。

自閉症とABA早期療育の歴史

自閉症をもつ子ども社会生活の上で抱える問題を解決するため、ABAを用いた早期療育(ABA早期療育)が開発されてからありとあらゆる研究が行われました。

1987年に、UCLA(カリフォルニア州立大学ロスアンゼルス校)のロバース博士の研究チームが行った2-3歳時の自閉症幼児19名に対するABAを用いた療育は週40時間実施されました。
その結果、19名中9名(47%)の子どもが知的正常域(IQ80以上)に達したのです。

彼らは付き添いを必要とすることなく小学校一年次を修了しました。
残りの10人のうち8人は、軽度の遅れのある子のクラスに入ることになり、2人は重度の遅れのある子のクラスに入りました。

ロバース博士の研究チームによる研究は、ABAの早期療育が軽度または中度の知的遅れが見られる自閉症児の社会的自立サポートに役立つことを証明しました。
同時に、週10時間未満の療育をしたグループにおいては特に目立った結果が出ず、短時間の療育で成果を出すことは難しいということも証明されました。

いくらABAの早期療育が社会的自立サポートにつながるといっても、家庭で週数十時間に及ぶ療育を行うのは困難なことです。
専門家の確保の面においても、経済的な面においても実現は難しいとされています。

北米やカナダの一部地域ではABA早期療育の公費化が行われていますが、他の地域では財政面において厳しい現状があるため、公費化は難しいとされます。