PTSD(心的外傷後ストレス障害)とは、誰もがかかりうる疾患です。
強いショックを伴う体験や強いストレスを引き金に、心的負担を負うことで発症します。

PTSDを発症すると、トラウマとなっている出来事に関わる人や場所を極端に避けるようになったり、考え方そのものに影響が及ぶことによって日常生活に支障をきたします。

時間の経過とともに症状が薄れることもありますが、長引くようであれば専門家への相談が必要となります。

また、PTSD(心的外傷後ストレス障害)は他の精神疾患と併発することが多いとされています。
PTSD患者が他の精神疾患を併せ持つ割合はなんと80%ほどにものぼります。

合併症としては、主にうつ病、不安障害、アルコール中毒や薬物中毒などの物質使用障害が見られます。

米国の調査では、約15人に1人が、一生のうちにPTSDを発症するといいます。
また、PTSDを発症せずとも、その原因となるような強いショックを経験する人は半数にものぼります。

PTSDの原因とは

PTSDの原因となる出来事は人それぞれ違います。
ただ、アメリカ精神医学会のマニュアル、DSM-5によって定義される基準は次の通りです。

「実際にまたは危うく死ぬ、重傷を負う、性的暴力を受ける出来事」を直接体験する、他人に起こった出来事を直に目撃する、親者または親しい友人に起こった心的外傷的出来事を耳にする、心的外傷的出来事の強い不快感をいだく細部に、繰り返しまたは極端に曝露される体験をする

虐待や災害、事故などは、これらの条件を満たす経験です。
PTSDの引き金になる経験は、日常的に起きるものではなく、非日常的なもので本人に失態があって引き起こされるわけではありません。

PTSDの症状

PTSDであると診断される基準は、次の4つの症状が1ヶ月以上持続していることです。

・突然トラウマを思い出す
・トラウマに似た状況を避けようとする
・否定的になる
・常に緊張状態にある

突然トラウマを思い出す

トラウマを突然思い出すことを「フラッシュバック」といいます。
これによって短期間意識を失うこともあり、繰り返し何度も起こるのが特徴です。
子どもの場合は、トラウマに似た状況に置かれた時記憶がフラッシュバックすることがあります。

トラウマに似た状況を避けようとする

PTSDの人は、トラウマを思い出さないように、なるべくそれについて考えないようにしたり、会話することを避けます。
関連する人や場所を避ける努力をすることもあります。

否定的になる

否定的な感情や歪んだ認知を引き起こすのもPTSDの特徴です。
本人には関係のないことでも「自分が全て悪い」と感じるようになったり、他人のことを信用できなくなることもあります。

常に緊張状態にある

PTSDになると、日常生活の中の些細なことにも敏感になります。
予期しない出来事には特に過剰な反応をして、疲れてしまうでしょう。

これらの症状が見られた場合でも、短期間でおさまる場合はPTSDである可能性は低いと言えます。
ただ、1ヶ月以上にわたって症状が見られる場合は病院に相談すると良いでしょう。